感覚障害とは?──「感じない」だけじゃない世界
こんにちは。
わたしスタイルLABOのacoです。
脳卒中の後遺症としてよく知られている「運動麻痺」。
でも実は、「感覚障害」もとても多くの人が抱えている後遺症のひとつです。
感覚障害とは、触った感覚、温度、痛み、重さ、位置などを脳が正しく受け取れなくなる状態のこと。
健常者がが普段、何も意識せず感じている「手足の位置」「足の裏で床を感じる」「手に持っているものの形や温度がわかる」などの感覚が、壊れてしまうのが感覚障害です。
それは、「感じない」だけではない。
「過敏になる」「痛く感じる」「存在そのももを感じられない」など、多種多様で、しかも日によって感覚も変わる。
そして異常感覚でありながら、目に見えないだけに、周囲にはとても伝わりにくい。
でも、わたしにとっては、毎日の生活に大きく影響する「生きづらさ」のひとつです。
感覚には「表在感覚」と「深部感覚」がある
感覚は、大きく分けて次の2つに分かれます。
● 表在感覚(皮膚の表面の感覚)
- 触られた感覚
- 痛み
- 温かさ・冷たさ(温度覚)
表在感覚に異常が起きると…
→ 触っても気づかない、火傷やけがに気づかない、服の感触がつらいetc
● 深部感覚(身体の内部感覚)
- 関節の角度や動き
- 重力やバランスの感覚
- 身体の各部が「今どこにあるか」という位置感覚
深部感覚に異常が起きると…
→ 体の位置がわからず姿勢が崩れる、転びやすくなる、自分の身体感覚が不安になるetc
わたしはどちらの感覚も障害があります。
表在感覚の障害は、健常者にもイメージがつきやすいと思うのですが、「深部感覚」の障害は説明も難しいし、とても厄介です。
わたしの感覚障害──具体的な症状と毎日のリアル
● 力加減がわからない手
たとえば、麻痺側の手で紙を持つと、力加減がわからず握りつぶしてしまう。
かと思えば、コップやボトルなどの球面のものは、力が入らず落としてしまう。
やっと持てても、今度は離せない。
自分の手で、机にコップを置くことすら、難しいのです。
● ずっと冷蔵庫の中にいるような感覚
麻痺側は常に冷たい。
体感で言えば、冷蔵庫の中に入っているような冷たさがずっとある。
でも、時には逆に、ご飯やお茶など、温かいものが異常に熱く感じる。
熱くて手を引っ込めるけれど、実際にはそんなに高温じゃないことも。
夜になると、灼けつくような痛みが麻痺側を襲うこともある。
それは「視床痛」とも言われる、神経の異常な興奮による痛み。
● 自分の体が、感じられない
目をつぶると、右半身が消えてしまうような感覚になる。
手や足の位置がわからない。重さも感じない。
「ここにある」と思えるのは、目で確認できている時だけ。
だから、わたしは「見る」ことで補っています。
これを「視覚代償」と言います。見ないと自分の体がわからないからです。
少しずつ、身体を感じ始めた
でもここ最近ですが、少しずつ変化が出てきました。
昨年から今年にかけて、
- 「なんとなく足があるかも?」と感じる瞬間が出てきた
- 歩くときに、足裏の感覚が「点 → 線 → 面」へ変化しつつある
この1ヶ月の変化
- 調子の良い日は筋緊張が緩み、足指の握り込みが減った
- 退院当初くの字に曲がっていた足指がかなり開いてきた
- 足指のつけ根(中足骨頭部)の感覚が出てきた
- 股関節から膝にかけての動きが、ぼんやりとだけどわかるようになった
- 視覚に頼る割合が少し減った(=深部感覚が少し戻ってきた)
動きが大幅に改善されたわけじゃないし、一見大きな変化はないように見えても、わたしにとってはすごく大きな変化です。
ここまで3年。あきらめなくてよかった!
最後に
わたしには高次脳機能障害もありますが、同じくらい感覚障害も目に見えず伝わりづらいものです。
また、感覚障害は改善にはとても時間がかかるとも言われています。
でも…あきらめなくてもいい。
少しずつでも、変わることがあるから。
リハビリ+日常の中で感覚を育てていく
感覚障害に対しては、もちろんリハビリも有効です。
運動療法、物理療法、感覚再教育、課題指向型トレーニングといったリハビリ。
また、その他、TMS (経頭蓋磁気刺激)や再生医療など、いろいろなアプローチがあるので、興味があったら調べてみてください。
でもやはり、それだけで劇的に改善するわけでもありません。
わたしはリハビリ室の外──
ふだんの生活の中で、どれだけ感覚を意識し続けられるかも大事だと思っています。
- お茶を飲むとき、カップを両手で触って温度を確認する
- 服を着替えるとき、鏡で肩の位置を確認する
- 手で何かをつかむとき、その感触を「感じよう」とする
そうやって、少しずつ少しずつ、失われた感覚を“再学習”させていくように意識しています。
何年経っても、遅くはないから…
発症から時間が経つと、「もう治らない」と思って諦めてしまいがちです。
実際は、何年経っても感覚が変化する可能性はあると実感しています。
それは決して「元に戻る」という意味ではないけれど、
“ゼロではない”ということを知ってもらえたらうれしいです。
この記事が、感覚障害という“見えない障害”に少しでも光を当て、
「そうだったのか」と思ってくれる誰かの心に届いたら。
そして、同じように悩む誰かの「わたしもあきらめたくない」という気持ちに寄り添えたらと思います。
