高次脳機能障害と失語症

こんにちは。
わたしスタイルLABOのacoです。

脳卒中や交通事故によって、脳を損傷することによって、さまざまな後遺症が残る場合がありますが、その中に「高次脳機能障害」という後遺症があります。

「高次脳機能障害」は脳のどの部分を損傷したかによって、症状も違うのですが主に下図のような症状が出ると言われています。

わたしは左視床出血で、注意障害、記憶障害、遂行障害などがあります。

※わたしの症状について参考までに過去の記事はこちら↓
スマホ・パソコン再習得の記録──高次脳機能障害と片麻痺を抱えて
30年の運転歴に別れを告げた日──高次脳機能障害と運転

また、左脳損傷なので軽い失語症も残っています。
今回は左脳側を損傷した人に出やすい「失語症」を取り上げたいと思います。

わたし自身、脳卒中を経験する前は「失語症=言葉が話せなくなる」くらいの漠然としたイメージしかありませんでした。

しかし、脳卒中で左脳の言語野を損傷し、自分自身が右半身麻痺と高次脳機能障害を抱え、
失語症とは高次脳機能障害の一つであり、「とても幅の広い状態の総称」だということを知りました。

そしてわたしの経験上ですが、“日や時間帯によっても症状がだいぶ変わる“ということも。

「今日はいつもより話せる」「夕方はもう舌が回らない」「瞬間的に突然言葉が出ない」
そんなアップダウンがたびたび起こります。

この記事では、同じ当事者としての感覚と、基本的な知識をまじえながら、失語症についてわかりやすくお伝えします。

失語症は「話す」「聞く」「読む」「書く」すべてに関わる障害

失語症というと「話しにくくなる」イメージが強いかもしれません。
だけど実際は、

  • 発話の困難:言いたい言葉がすぐに出てこない(喚語困難)、言い間違える(錯語)。
  • 理解の困難:相手の話や書かれた文字の意味が理解しにくくなる。
  • 読み書きの困難:文字の読み書きが難しくなる。
  • 記憶の困難:話の内容を覚えておけない、言語性短期記憶障害。

このような症状が、脳のどの部位が障害されたかによって影響が出ます。

わたしの場合は 「書く」「読む」はできるけれど、「話す」が難しくなるタイプ
(右麻痺なので筆記用具を使用しての「書字」はできなくなりましたが)

理解も発症前に比べたらだいぶ落ちましたが、日常生活には支障がないレベル。
記憶に関しては、スマホにすぐ記録する、リマインド機能を使うなど工夫で乗り切っています。

書く、読むなど、自分一人で完結する動作ならいいのですが、「話す」は基本相手があっての動作になるので、生活への影響が大きく困っています。

時には、口も舌も動きにくく、“言いたいのに出ない”“簡単な単語さえ出てこない” という状態が起こる。
その日のコンディションによっても波が大きい

たとえば、朝は話せるのに、午後になると呂律が回らなくなる。
人と話す時間が続くと、突然「スイッチが切れたように」声も掠れて出なくなる。

これは失語症とともに、脳損傷による 易疲労性(脳疲労) が大きく関係しているようです。

失語症にも種類がある

失語症は、主に次のようなタイプに分けられます。(※ここではわかりやすく大まかに説明します)

● ブローカ失語(運動性失語)

  • 言いたいのに言葉にならない
  • しゃべりがつっかえる
  • 語順が崩れやすい
    理解は比較的保たれることが多いタイプ。

→ わたしはこのタイプに近い。

● ウェルニッケ失語(感覚性失語)

  • 聞いても意味が理解しにくい
  • 自分の話す内容が気づかないうちに支離滅裂になる
  • 会話が成立しにくい
    話し言葉はスムーズでも、意味のズレが大きいのが特徴。

● 全失語

  • 表出も理解も大きく障害される状態
    脳卒中直後に起こりやすいですが、リハビリで改善するケースも多いです。

● 健忘失語

  • 単語が出てこない
  • 「あれ」「それ」の代用語が増える
    日常会話が一見できているように見えるため、周囲に気づかれにくいタイプ。

「話せない=知的に問題がある」わけではない

これは非常に強く伝えたいことです。

失語症は “言語の操作が難しくなる状態” であって“知能の問題” とは別です。
(ただし、症状の種類や重さによっては、全失語など “言葉の理解が難しくなるタイプ” もあります。」)

話せないからといって、
「わかってないんだろう」
「理解できないんだろう」
と思われてしまうのは、とてもつらいことです。

  • ゆっくり話してくれる
  • 一文を短くしてくれる
  • 話す代わりに文字やメモを使う
  • 相手が焦らない

こうした配慮があるだけで、当事者はとても安心します。

当事者として感じる「つらさ」

わたしが当事者として感じるつらさは、

● 言いたいことが言えない悔しさ

頭の中に「言いたいこと」のイメージはちゃんとある。
でも、それを言語として外に出すことが難しい。

がんばって話せば話すほど、うまく言語化できない。

これがとてもとても「もどかしい!」んです…
言いたいことがなかなか相手に伝わらないので、だんだん泣きたい気分になることも。

● 調子によって“急に話せなくなる”

朝は比較的調子良く話せていても、夕方には声がかすれ、舌が回らず、呂律も崩れる。
また、単語も出にくくなる。
言語は「筋肉」でもあり、「脳の体力」にも左右されると痛感します。

● 疲労で一気に言語機能が落ちる

脳疲労が溜まった瞬間、
「単語が抜け落ちる」「声が出ない」「飲み込みも弱くなる」
という症状が一気に強くなります。

周囲に知ってほしいこと

失語症の当事者は、見た目ではわかりにくい「見えない障害」を抱えています。

もし身近に当事者がいたら、次のようなことを知っておいてもらえるとうれしいです。

  • 焦らせないで
  • 「まあいいか」で話を勝手にまとめないで
  • 書く・指差す・ジェスチャーなど複数の手段を許してほしい
  • なるべく遮らず、待ってほしい
  • 話せている時でもだいぶ“がんばっている”ことを理解してほしい

シンプルですが、こうしたことが当事者の大きな支えになると思います。

おわりに

失語症は「言葉の問題」と考えられがちですが、実際は「生きづらさ」に直結する障害です。
当事者だけでなく、支えている家族など周りの人たちも大変だと思います。

それでも、工夫をしながら、自分なりのペースで会話をしたり文章を書いたり、社会とのつながりを取り戻すことはできます。

この記事が、

  • 当事者の気持ちが少しでも伝わる
  • 周囲の理解が深まる
  • 同じ悩みを抱える人の気持ちが軽くなる

そんなきっかけになればうれしいです。

最後になりますが、こんなわたしを支えてくれている子どもたち、両親、友人、そして一番の理解者であるパートナーには心から感謝しています。いつもありがとう。