身寄りのない高齢者が増えている
こんにちは。
わたしスタイルLABOのacoです。
こんなニュースを目にしました。
「増え続ける身寄りのない高齢者、入院・入所・死後の手続きの支援制度を創設へ…27年度にも開始」(2025年8月3日 読売新聞)
一人暮らしの高齢者が増え、頼れる親族もいないために、入院や施設入所、さらには死後の手続きに困るケースが増加しているそうです。
高齢になれば、入院が必要になるリスクも高くなりますが、入院にはたいてい「身元保証人」が必要です。施設の入所も同じ。
それがいないと、何かあったときに責任を取る人がいないという理由で、医療や介護の現場が困ってしまうからです。
「誰も頼れない」高齢者の現状
今、日本には「身寄りがない」とされる高齢者が少なくありません。
実際には、「身寄りがない」といっても状況はさまざまで、
- 独身で、兄弟姉妹もいない
- 子どもがいても音信不通である
- 親族がいても、頼れない事情がある
といったケースが含まれます。
こうした方々が直面しやすいのが、医療機関や介護施設での「身元保証人を求められる」問題です。
身元保証人がいないという理由で、入院や施設入所を断られることがあるのです※1。
厚生労働省も、こうした高齢者の入院・入所・死後の事務などを支援する必要性を認識しており、2021年には「身寄りのない人に関する実態調査」を実施しました(調査結果では、施設や病院で対応に苦慮している実情も明らかになっています)※2。
誰にも迷惑をかけたくない、でも頼れる人がいない──そんな高齢者が増えている今、社会全体で備えと支援のあり方が問われています。
※1病院については、医師は正当の事由がなければ診療を断ってはならない(医師法第19条第1項)という「応召義務」があり、厚生労働省は2018年に「身元保証人等がいないことのみを理由に患者の入院を断ることは医師法に抵触する」と通知しています。しかし、実態としては多くの病院で身元保証人を求めています。
※2厚生労働省
「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン及び事例集」
「地域共生社会における、身寄りのない高齢者が抱える課題等への対応について」
もしものとき──死後は誰が手続きするの?
もっと心配なのは、もしも誰にも看取られずに亡くなった場合。
わたしたちが亡くなるときには、役所への届け出、遺品整理、光熱費や携帯の解約など、さまざまな「死後の手続き」が必要になります。
しかし、誰もそれをしてくれる人がいなければ、どうなるのでしょうか?
現状自治体レベルでは、「身寄りのない高齢者」に対する支援策を整備しているところもあります。
たとえば、山梨県甲府市では、医療機関や社会福祉協議会、包括支援センターが連携して、退院先の調整や入所先の確保を支援する「対応事例集」をまとめています。
また、島根県松江市では「高齢者あんしんサポート事業」として、市と社会福祉協議会が契約し、通院・緊急対応・留守宅管理などを包括的に行う制度が整備されています。
東京都世田谷区や長野市も、医療や介護施設への入院・入所時にガイドラインを設け、保証人がいない方の支援フローを制度化しています。
ただし、こうした取り組みは地域によって差があるため、支援制度の内容や提供体制は自治体によって異なります。
2027年度に始まる新制度の内容とは?
そんな現状をふまえ、厚生労働省は「身寄りのない高齢者」のための新しい制度づくりを進めています。
報道によると、2027年度から本格的にスタートする予定です。
この制度では、以下のような支援が想定されています。
- 入院時の身元保証(連絡先や同意手続きの代行)
- 介護施設に入るときの保証支援
- 死後の手続きや葬儀の代行(死後事務)
つまり、家族に頼れなくても、公的な仕組みを通じて安心して老後を迎えられるようになるわけです。
なお、厚生労働省が創設を検討している新たな支援制度(仮称)については、まだ詳細は決まっていませんが、今回の報道によると「社会福祉協議会」や「成年後見制度」などと連携する方向で検討が進められているとのことです。
今できること──民間サービスや制度の活用
制度の本格的な運用は2027年度以降とされており、それまでの間は現行の支援制度や地域の取り組みを活用していく必要があります。
では、今わたしたちができることは何でしょうか?
現在も、民間では「身元保証」や「死後事務代行」のサービスを提供している会社があります。
たとえば、こんなサービスがあります
- 入院や入所時の身元保証(緊急時連絡など)
- 亡くなった後の葬儀や納骨、遺品整理
- 日常生活の支援(通院の付き添いや買い物代行など)
料金は業者によって異なりますが、入会金や預託金を含めて総額100万円以上になることもあるため、よく内容を確認する必要があります。
また、「任意後見制度」や「死後事務委任契約」「遺言書」などを、公証役場で正式に残しておくことも大切です。
わたし自身が感じた、矛盾と不安
一方で…調べれば調べるほど、なんとも言えない矛盾と不安が湧き上がってきました。
たとえば、身寄りがない人には公的な支援制度や行政の関与がある一方で、家族や親戚がいる場合は、その人たちが金銭的にも労力的にも精神的にも大きな負担を抱えることになる。
では、家族がいるだけでその人に頼るしかないのか。支援を受けられるか否かが「身寄りの有無」で線引きされてしまうのだとしたら、それは本当に公平なのでしょうか。
わたし自身も、母として子を持つ立場として、そしておひとりさまとして、この構造に違和感を持ちました。
自分の老後や死後は、100%誰にでも訪れることです。
もし「身寄りがない」立場ならば、なおさら、ある程度の年齢から真剣に、そして早めに準備を始める必要があると思うのです。
「公助があるから大丈夫」と安心してしまうのは、少し違う気がしています。
というのも、たとえ家族がいたとしても、老いや死に対する不安は同じようにあるからです。
むしろ「家族にはなるべく迷惑をかけたくない」と思えば思うほど、備えることの大切さを痛感しています。
そうした一人ひとりの不安と向き合わず、「制度があるからよかったね」で終わらせてしまうのは、少し乱暴なのではないか──そんな疑問が残りました。
だれもが「老後の責任」を考える社会に
わたしには2人の子どもがいます。
でも、それは「老後は子どもがなんとかしてくれる」ということではありません。
むしろ、「子どもに大きな負担をかけたくないからこそ、今のうちに準備しておきたい」と考えています。
3年前、入院中同室だった高齢の独身女性は、入院前から民間の支援会社と契約をしていました。その時も、入院時の諸手続きから留守宅の管理までその会社を通してされていたのです。
弟さんが近県にいるとのことでしたが、身寄りはあっても頼らず、自分で自分の老後を整えていたその姿勢に、深く感銘を受けました。
一方で、今後は行政が「身寄りがない人」のために、入院や死後の手続きまで支援する制度が始まろうとしています。
それが本当に必要な人のためのセーフティネットであることは理解しています。
けれど……
「困るのはわかっていたのに、何の準備もせず、全部公助に任せる」
というあり方には、正直なところ少しモヤモヤも感じます。
公助といえば、そこに投入されるのは税金です。
少子高齢化が加速する中、またも税金で…となると、一体どうなってしまうのか。
現役世代の負担、つまり今後子どもたちの世代の負担がますます増えてしまうということです。
歳を重ねていけば、誰しもが老後を迎えます。
面倒くさいと、先延ばししているうちに、自分でできるタイミングを逃してしまうかもしれません。
身体が動くうちに、頭が働くうちに、
その日まで、「自分の責任でできること」を一つずつクリアにしていく。
誰にでも、老後や死後は必ず訪れるもの。
だからこそ、「制度があるから大丈夫」と安心しきってしまうのではなく、
できることは、できるうちに。
準備できることは、元気なうちに。
自分の未来にしっかりと向き合う人が、増えますように─。
そう願っています。
