こんにちは。
わたしスタイルLABOのacoです。

昨日(2025年8月1日)、東京博善株式会社から「特別区区民葬儀の取扱い終了および火葬料金の改訂」が発表されました。

同じ日の朝、ちょうど『【終活】お葬式どうする?調べて分かった実情──そしてたどり着いた選択とは?』という記事を公開したばかりだったので、大変驚きました。

このリリースをきっかけに、わたしは改めて東京23区における火葬事情を見つめ直すことに。

この記事では、東京23区の火葬インフラの現状や、民間企業による寡占状態、ここ数年で火葬料金の高騰が起きている背景など、構造的な問題を整理し、わたしなりの視点から問いを投げかけていきます。

火葬はどこで?──東京23区の火葬場一覧とその運営主体

まず、東京23区内にある火葬場は以下の9か所です。

火葬場名所在地管理運営
町屋斎場荒川区東京博善株式会社
四ツ木斎場葛飾区東京博善株式会社
堀ノ内斎場杉並区東京博善株式会社
桐ヶ谷斎場品川区東京博善株式会社
落合斎場新宿区東京博善株式会社
雑司が谷斎場豊島区東京博善株式会社
臨海斎場大田区区共同設置(大田・品川・港・目黒・世田谷)
瑞江葬儀所江戸川区公益財団法人東京都公園協会(東京都)
戸田葬祭場板橋区株式会社戸田葬祭場

このうち6か所(全体の約67%)は東京博善株式会社が運営する民間施設です。

さらに、戸田葬祭場も株式会社が運営しているため、民間企業が運営する火葬場は全体の7か所(約78%)となります。

都内23区で「火葬をしよう」と考えたとき、ほとんどの人はこの民間施設を利用せざるを得ないのが現実です。

そもそも、なぜ東京23区には公営火葬場が少ないのか?

ここで素朴な疑問が湧きます。

「なぜ23区には公営の火葬場がわずか2か所しかないのか?」

その背景には、東京という都市の特殊な歴史と構造があります。

まず、東京23区では、戦前から戦後にかけて都市化が急速に進み、人口が爆発的に増えるなかで、インフラ整備が後手に回っていました。

そんな中、火葬施設の整備については、行政による公的投資がなされる前に、民間資本が先行して担ってきたという経緯があります。

その中心的な役割を果たしてきたのが、現在も6つの火葬場を運営する東京博善株式会社です。
明治から昭和にかけて、東京博善の前身となる民間事業者が各地に火葬場を整備していったため、行政による新たな公営施設の必要性が表面化しにくいまま、現在に至っています。

さらに、火葬場という施設は、「煙や臭い」「死を連想させる」といった理由で、いわゆる“迷惑施設”として建設反対運動が非常に強く、立地選定がきわめて難しいのが実情です。

特に、東京23区のように人口密度が高く、すでに市街地化が進んでいるエリアでは、たとえ公的機関が建設の意思を示しても、地元住民や議会の反対によって計画が頓挫することが少なくありません

このような歴史と構造が重なり、現在のように、東京23区における火葬インフラの多くが民間(とくに東京博善)によって運営される形となっています。

公営の火葬場は、23区西部の区が共同運営する臨海斎場(大田区)と、唯一の都営である瑞江葬儀所(江戸川区)のわずか2か所にとどまり、約7割の区民が民間の運営する火葬場を利用せざるを得ない状況にあります。

つまり、これは一企業の問題というより、戦後の都市政策や地域住民との関係性、民間依存型の都市インフラ整備のツケともいえる、構造的な課題なのです。

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「東京博善」が火葬事業を寡占しているという事実

東京博善株式会社は、火葬場6か所と併設の式場施設を一体的に運営しており、葬送の中心的インフラを事実上担っています。

問題は、その運営体制が「公に近い」ようでいて、完全な民間企業であるという点にあります。

しかも近年、この東京博善の親会社が外国資本(中国系投資ファンド)に変わったことが報じられ、懸念の声も上がっています。

火葬場という公共性の高いインフラが、営利企業──それも外資にコントロールされているという構造に、違和感を覚える人は少なくないでしょう。

参考:産経ニュース(2024/12/2)
東京23区火葬料高騰、民営で9万円 中国資本傘下参入以降、続く値上げ「侵食」~火葬(上)
葬送業界に激震、中国資本傘下の火葬企業が「葬儀事業」参入 暗黙ルール破り「利益偏重」

【速報】区民葬儀の取り扱い終了──火葬料は“値下げ”されたが…

2025年8月1日、東京博善株式会社は、これまで23区と連携して実施してきた「区民葬儀」の取り扱いを2026年3月末で終了することを公式に発表しました。

従来、区民葬儀を利用することで、たとえば火葬料(普通炉)は59,600円に抑えられていました。

しかし、東京博善がプレスリリースで示した新料金体系では、火葬料は90,000円から87,000円へ値下げされるとますが、区民葬儀の火葬料と比べると実質的な負担増になります。

東京博善はこの料金改定について、「区民葬の取扱い終了により生じる差額を区民の皆さまに還元する」としていますが、区民葬の制度自体がなくなる中での「値下げ」には疑問の声も上がっています。

なぜ区民葬儀の取り扱いを終了?

東京博善がプレスリリースで挙げた主な理由は以下の2点です。

  1. 本来の趣旨と乖離していること
     低所得者層の負担軽減を目的とした区民葬制度が、現状では誰でも利用できる制度となっており、制度の本来の趣旨から乖離している。
  2. 取り扱える葬儀社が限られており、不公平感があること
     区民葬の取り扱いは「全東京葬祭業協同組合連合会」に加盟している葬儀社に限定されており、取り扱えない葬儀社からは「公益性の高い火葬場で不公平な制度ではないか」という声が上がっていた。

この2点を踏まえ、東京博善は「公平を求められるご火葬のありかたとしてもふさわしくないと判断するに至りました」と説明しています。

しかしながら、東京博善の火葬場は23区内の火葬件数の約7割を担っており、現時点で代替となる火葬場の選択肢は極めて限られているのが現状です。

そのような中で、「公益性の高いインフラである火葬の場で、競争もないままシェア7割近くを占める企業が、”制度の公平性”を理由に一方的に区民葬を終了させること」が、本当に区民の利益にかなっているのか?が、今、問われています。

「亡くなった人の火葬」まで市場化されていいのか?

わたし自身、終活に真剣に向き合うようになってから、「人が亡くなる」という最後のプロセスにも“お金の格差”が存在することに、強い違和感を抱いてきました。

誰もが100%亡くなります。100 % です。例外はありません。
そして、(日本では)事実上火葬はすべての人に必要なものです※注

そこに地域格差が存在する。
差を埋めるため、最低限の“公的保障”があって然るべきなのではないのでしょうか。

外国資本の親会社を持つ企業が運営する火葬場で、他に選択肢もないままサービスを利用せざるを得ない現状。これは市場原理というよりも、構造的な依存といえるのではないでしょうか。


墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)
第3条:死体の火葬、埋葬又は改葬は、市町村長の許可を受けなければならない。
死体を処理するには「火葬」か「土葬」が選べますが、土葬が禁止・制限されている地域が多いため、事実上「火葬一択」です。

最後に──公共インフラとしての「火葬」をどうすべきか

今回の東京博善のリリースを受けて、「制度が変わる前に情報を知っておきたい」と思い、東京の火葬場事情についていろいろと調べました。

火葬料金や葬儀の準備については、自治体や施設によって対応が異なります。まずは自分の住む地域で、

  • 利用できる火葬場
  • 公営・民営の違い
  • 補助制度の有無
  • 葬儀にかかる費用

こうした基本的なことを調べておくだけでも、「いざ」というときに慌てずに済むと思います。

「死」や「火葬」は、日常生活では見過ごされがちですが、誰にとってもいつかは確実に訪れる現実です。

火葬が利益追求の対象でいいのか?
公共性の高い葬送インフラを、今のような状態のまま、その7割を一民間企業に任せてよいのか?

昨日のリリースを受け、今まさに問われています。