こんにちは。
わたしスタイルLABOのacoです。
昨日、病院で支払いをしようとしたら、財布に入れてあるはずのクレジットカードが見つからず、結局現金で支払いました。
家に戻ってから、思い当たる場所を全部探したけれど見つからず、途方に暮れました。
結局、化粧ポーチの中から出てきたのですが、どうしてそこにカードを入れたのか、自分でも全く覚えていません。病院に行っただけでも1日がかりで疲れたのに、身体も脳もクタクタ。
3年前、脳卒中で高次脳機能障害になってから、物の置き場所を忘れたり、予定を思い出せなかったり、同じことを何度も話してしまったり、聞いてしまったりする「記憶障害」と暮らしています。
「年齢による物忘れ」と誤解されがち
この「記憶障害」は、いわゆる「加齢による物忘れ」とは違います。
ですが、記憶障害により、日常で困っていることを伝えると、「わたしも最近物忘れが多いから〜」とか「年齢によるもので、みんなあるよ〜」と軽く受け流されてしまうことも。
「みんな同じだから大丈夫」という優しさからかもしれません。
でも、そう言われるたびに、「わたしが抱えている問題や不安を理解してもらえないんだな」とモヤモヤしてします。
記憶がすっぽり抜け落ちていることもあり、明らかに物忘れとは違うし、記憶に残らないという得体の知れない不不安感を抱えています。
記憶障害は、いわゆる短期記憶が苦手です。その反面、昔のことはよく覚えているので、認知症とよく似ています。
高次脳機能障害の講座で知った「認知症との違い」
昨年、区で開かれた高次脳機能障害についての講座で、専門医の先生がこんな話をしてくれました。
「認知症と高次脳機能障害は症状は似ている部分もありますが、認知症は徐々に進行していくのに対して、高次脳機能障害は脳に損傷を受けた瞬間に機能が失われ、基本的には進行しません。」
なるほど、記憶障害は認知症と基本的には同じなのか。と改めて思いました。
確かに症状としてはとてもよく似ています。
ただ、認知症の場合はゆっくりと進行し、本人も病識が持てないことも。
対して高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中などで脳が損傷を受け、一瞬で障害が生じる「非進行性」の障害です。また、リハビリによって改善する場合もあります。
わたしの記憶障害が日常に与える影響とは
もうひとつ違うのは、年齢による物忘れと記憶障害の質です。
年齢による物忘れは、ヒントをもらったり、しばらく考えると「ああ、思い出した!」となることが多いそう。
でもわたしの場合は、ヒントがあっても思い出せなかったり、記憶自体がすっぽり抜け落ちていることもあります。
日常生活の中で、自分も当然不安ですが、相手を不快にさせてしまっているのではないか…という不安が常にあり、そこが一番つらいところ。
ちなみに最近、「日常記憶チェックリスト(EMS)」という自己評価テストを受けたのですが、ほとんどの項目が「常にある」か「よくある」でした。思っていた以上に、自分の記憶障害が日常生活に影響を与えているんだなと、改めて感じました。

わたしができる工夫と、知ってほしいこと
わたしは日々、スマホのリマインダーやカレンダーを活用し、やるべきことをメモに書き出し、忘れないように工夫しています。
ポイントは「すぐやる」。
いますぐにできないことは、必ずすぐスマホに「メモる」。
あとでだと、すっぽり抜け落ちてしまうから。
また、家族や周囲にも「忘れやすいことがある」と伝え、失敗を防いでいますが、それでも失敗してしまうことも。
例えば、予定をスケジュールアプリに入れ、前日も当日も何度も確認したのに、なぜか時間を間違えるとか。
なので、イレギュラーな予定は特に、細心の注意を払うように心がけています。
あと月並みですが、予定の時間よりも、早く行動すること。
昔から、10分前行動は当たり前でしたが、今は1時間余裕をみています。
身体の麻痺で早く移動できないのもありますが、注意障害で道を間違えたり、迷子になったり、とにかくハプニングが起こるので。
それでも、相手に迷惑がかかった時はとても落ち込みますが、高次脳機能障害は「努力が足りないから起きるもの」ではなく、脳が損傷を受けたことによる「障害」なので、あまり自分を責めすぎないようにしています。
どうすれば記憶障害や注意障害をカバーできるか?を考え、アップデートするように心がけています。
まずは「記憶障害」を知ってもらえたら
わたしと同じように「記憶障害」で悩み、「そういう障害があることをまずは知って欲しい」と願っている人も多いはず。
「わたしは最近忘れっぽいから〜」と軽く流す代わりに、「それって大変だね」「何か手伝えることがあったら言ってね」と声をかけてもらえたら、心が救われると思います。
見た目にはわからない後遺症だからこそ、知ってもらいたい。
ちょっとした配慮や理解をしてもらえることで、わたしたちは心が穏やかになり安心できます。
わたし自身も、周囲の人に見守ってもらいながら、わたしらしく生きていけたらいいなと願っている一人です。
高次脳機能障害の一種として「記憶障害」という障害があること、そして「記憶障害って年齢の物忘れとは違うんだ」と知ってもらえたらうれしいです。