こんにちは。
わたしスタイルLABOのacoです。
脳卒中で倒れ後遺症がある場合、急性期病院(病棟)→回復期病院(病棟)と入院リハビリをし、退院となります。
回復期に移動してからは、最大で180日間のリハビリ入院が認められていますが、わたしも急性期と回復期を合わせて約7ヶ月間入院していました。
退院の期限を迎えたからといって、完全に機能回復ができるわけではありません。
後遺症がある場合、退院後こそリハビリの継続が必要になります。
でも、退院後のリハビリはどこで?どうやって?
わたしも入院中にとても悩みました。
わたしの経験:医療ソーシャルワーカーに相談したくてもできなかった
回復期リハビリ病棟での入院中、「退院後もリハビリを続けたい」と思ったわたしは、ソーシャルワーカー(医療ソーシャルワーカー/MSW)と面談を希望していました。
退院後の生活に向けて、医療保険や介護保険のことなど相談したかったからです。
でも、何度も面談希望を出したのに、ソーシャルワーカーと面談することは叶いませんでした。
当時はコロナ禍の影響もあり、面会や相談の機会自体がほぼなく、また忙しい現場では対応が難しかったのかもしれません。
結局、わたしはネットや患者同士の口コミで情報を集め、入院中に「退院後は通院リハビリを続けたい」と医師やスタッフに直接伝えました。
最終的に転院先の病院を探し、通院リハビリの調整だけをしてもらい、そのまま退院することになったのです。
この経験から痛感したのは、そもそも制度を知らないと、自分が必要な支援にアクセスできないという現実でした。
回復期リハビリを終えたあとの選択肢
では、退院後のリハビリはどんな方法で続けられるのでしょうか?
選択肢は大きく分けて3つあります。
① 通院リハビリ(外来リハビリ)【医療保険】
病院やクリニックに通い、医師の指示のもとに行うリハビリです。
わたしもこのパターンで、医療保険を使って通院リハビリを続けています。
- 対象:退院後も医学的管理が必要な場合
- 費用:医療保険(基本3割、70歳以上は1〜2割)
- 期間:リハビリの算定期限(疾患ごとに上限あり)や主治医の判断による
② 通所リハビリ(デイケア)【介護保険】
介護保険の「要介護認定」または「要支援認定」を受けた人が利用できる通所サービスです。
施設でリハビリを受けながら、送迎や入浴、食事サービスを受けられることもあります。
- 対象:介護認定を受けた人(原則65歳以上/特定疾病がある40〜64歳)
- 費用:介護保険(原則1〜3割)
- 特徴:生活機能の維持や社会参加の支援が目的
③ 訪問リハビリ【介護保険 または 医療保険】
通院が難しい人のために、自宅に理学療法士や作業療法士などが訪問してリハビリを行います。
- 介護保険:要介護認定を受けた在宅生活者向け
- 医療保険:医師の訪問診療がある場合など、特例で利用可
「介護保険=高齢者のもの」と思っていませんか?
わたしも脳卒中で倒れるまで、「介護保険なんて高齢者の話」と思っていました。
でも実は、介護保険は40歳以上の人は全員加入していて、保険料を払っているんです。
ただし、使うには「要介護認定」が必要になります。
- 65歳以上:原因に関係なく、要介護状態なら利用OK
- 40〜64歳:脳卒中やパーキンソン病など、「特定疾病」が原因の場合のみ利用可能
つまり、働き盛りでも脳卒中で後遺症が残った場合、条件を満たせば介護保険サービスが使えるということ。
でも、制度を知らなければ、その選択肢に気づくことすらありません。
40歳未満の人はどうなる?
40歳未満は、そもそも介護保険の加入対象外です。
そのため、どれほど重い後遺症や障害があっても、介護保険サービスを利用できません。
現実には、交通事故や病気などで若くして突然、介助やリハビリが必要になる人も少なくありません。
しかしこの年代には「介護保険によるデイケアや訪問リハビリ」「生活を支えるサービス」が用意されていないのが現状です。
40歳未満で在宅生活を続けるためには、医療保険の範囲で通院・訪問リハビリを受けるしかなく、在宅での生活支援や家族の介護負担を軽減する仕組みが非常に乏しいのが大きな課題です。
「若いから元気で当たり前」という社会的な思い込みもあり、就労や子育てなど人生の重要な時期に、支援制度から取り残されてしまうリスクがあります。
必要なのは「若年での障害や後遺症に対応できる制度の整備」ですが、まだ十分とはいえないのが日本の現状です。
わたし自身、脳卒中になるまでその不十分さに気づきもしませんでしたが、同じように若くして後遺症を負った方が、社会から孤立しない仕組みづくりが求められています。
制度は「知っている人」だけが使える
わたしは退院後、なんとか自力で通院リハビリにたどり着きましたが、もし制度を調べていなかったらリハビリが続けられなかったかもしれません。
医師やリハビリスタッフの中にも制度の説明に詳しくない人もいて、「自分から声をあげないと制度にアクセスできない」ことを痛感しました。
「自分の場合はどの制度が使えるの?」
「退院後の生活をどう支えたらいい?」
そんなときは、住んでいる地域の地域包括支援センターやケアマネジャーに相談するのがおすすめです。
でも、「どこに行けばいいの?」と迷う方も多いはず。
以下を参考にしてみてください。
地域包括支援センターは役所に行かなくても相談できる
- 地域包括支援センターは、市区町村ごとに担当エリアが決まっていて、自宅から近いところが窓口になります。
- 役所内に併設されている場合もありますが、福祉センターや民間施設内にあることも多いです。
- 自分の担当センターがわからないときは、まずは区役所・市役所の「高齢福祉課」や「介護保険課」に電話や窓口で問い合わせれば、担当センターを教えてもらえます。
ケアマネジャーを探したい場合
- ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険を使ってサービスを受けるときにケアプランを作ってくれる専門家です。
- 原則として要介護・要支援認定を受けたあとに選任されますが、認定前の相談を受けてくれる事業所もあります。
- 地域包括支援センターや役所に相談すれば、ケアマネジャーのいる事業所を紹介してもらえます。
迷ったらまずは役所へ
どこに連絡していいか分からないときは、住んでいる区役所・市役所の介護保険担当課に連絡するのがおすすめです。
担当の地域包括支援センターやケアマネジャー、制度利用に必要な手続きなどを案内してもらえます。
知らないと使えない制度。でも、知っていれば生活は変えられる。
わたしの経験が、同じように脳卒中で後遺症を抱えた方や、そのご家族の参考になればうれしいです。