リハビリに「差」が出る理由とは?

こんにちは。わたしスタイルLABOのacoです。

脳卒中の後遺症は、人それぞれまったく違います。
脳のどの部位にダメージを受けたのか、出血や梗塞の大きさ、発見・治療までの時間、年齢や既往歴…
あらゆる条件が重なり合って、その後の回復過程は十人十色。

だからこそ、
「頑張ったからといって、必ずしも思うように改善するとは限らない」
「同じようなリハビリを受けても、結果は人によって全く違う」
これは事実だし、わたしも実感しています。

でも、
リハビリに向き合う「姿勢」や「関わり方」によって、体験するプロセスの質は確実に変わる
これもまた、わたしが実感したもう一つの大切な事実です。

「受け身」なリハビリと、「能動的」なリハビリ

わたしが入院していた病棟では、同じようなリハビリを受けながらも、患者それぞれに違いがありました。

「どうせ良くならないし」と最初から諦めている人
「またリハビリか…」と嫌々ながらこなす人
「早く帰りたい」と焦りばかり募らせている人

一方でリハビリに前向きで、建設的に”自分ごと”として取り組む人もいました。

そしてその違いは、療法士さんとの関わり方、病棟での過ごし方、気持ちの落ち着き方などに、じわじわと表れていたのです。

わたし自身の体験から

脳卒中で病院に運ばれて、一命は取り留めたものの、右側が全く動かない。前触れも一切なく倒れ、気づけば障害者に。普通なら最悪な状態です。

でも、「なってしまったものは仕方がない」と、どこか冷静に受け止めている自分がいました。

入院してしばらく、病名すら知らない時期でも、不思議と冷静で「これが自分の現実なんだ」と受け止められました。むしろ「(やれることを)やるっきゃない!」と闘争心すら湧いてきた笑

「気持ちを切り替えよう」と意識したわけではなく、もともとそういう思考のクセ(ビリーフ)を持っていたからかもしれません。

そして、どうせリハビリをするなら、「できることを、できるだけやってみよう」と、自然な流れで前向きに向き合っていました。

1日3時間のリハビリの時間だけでなく、自主練にも積極的に取り組む日々。
・起きたらすぐに自主練
・食事が終わるとすぐに自主練
・気がつけば、病棟の誰よりも長く集中して動く
・看護師さんが呆れるほどの練習量
・テレビを見る時間も惜しみ、無我夢中だった

そんな姿勢に、療法士さんたちも自然と応えてくれました。

担当の療法士さんはもちろん、担当外の療法士さんたちも自分のことのように考え、寄り添ってくれたのです。

「わたしは昔から環境に恵まれているし、人にも恵まれている。」
これがわたしのビリーフですが、最悪なことが起きてもそれは変わらず。

そのため、ここでもまた正のスパイラルが生まれました。

(写真はイメージです)

『1日1ミリ』の積み重ね

わたしの好きな言葉に『1日1ミリ』という言葉があります。

当たり前ですが、脳卒中からの回復(改善)は、一朝一夕でどうにかなるものではありません。

三歩進んで二歩下がるような日々。
昨日できるようになったたことが、今日はなぜかできないの繰り返し。

そうかと思えば、何気ない日常の中で「あれ?少し良くなってるかも」と気づく瞬間がある。

毎日は小さな一歩でも、“1日1ミリ”ずつ確かに前に進んでいる。

その感覚があるから、わたしはこの約3年間、リハビリを諦めず続けてこられました。

不調な時は気分が沈むこともありますが、少しずつでも変わっていく身体や感覚を味わうのが楽しくて、「今日の自分にできることをやってみよう」と、意欲が湧いてくるのです。

能動的に関わることで生まれる「意味」

能動的にリハビリに関わると、結果が出るかどうかはともかく、
“自分の人生の主役は自分である”という感覚を取り戻せます。

・できることが少しずつ増えていく実感
・周囲が応援してくれる心強さ
・今日一日を、自分の意思で過ごしたという手応え

「受け身」ではなく「能動的に関わること」で得られる充実感は、回復のスピードや結果だけでは測れない、“生きている実感”そのもの。

たとえ結果が思うように出なくても、「今の自分にできることをやっている」と思えることは、大きな心の支えになりました。

それでも、比べない

ここで誤解してほしくないのは、「頑張らなかった人が悪い」とか「努力すれば報われる」と言いたいのではありません。

また「結果が出ないのは、頑張らないからだ」とか「努力が足りない」と言いたいのでもありません。

リハビリの成果は、努力だけではどうにもならない要因がたくさんあります。

どんなに頑張っても動かない身体の悔しさや、なかなか伝わらないもどかしさ。それはわたしもさんざん体験したし、痛いほどよくわかります。

それでも――
「姿勢」や「関わり方」は自分で選べる。

それが“プロセスの質”や“リハビリの結果”を変える重要なカギになる。
わたしは、そう信じています。

最後に

リハビリは、「やらされるもの」ではなく、「自ら関わっていくもの」
だから起きてから寝るまで、全ての行動がリハビリの時間であり、リハビリのチャンス。

たとえ望んだ結果が得られなかったとしても、その過程に意味を見出せるかどうかで、自分の気持ちも大きく違ってくるはず。

自分を責めるためではなく、自分を取り戻すために。
そして、「自分の人生を生きている」という感覚を持ち直すために。

“能動的に関わる”という選択。リハビリは“受ける”ものじゃなくて 、“やる”ものだということを忘れずに、“姿勢”という回復資源をこれからも使い倒そうと思います!